裲襠姿うちかけすがた)” の例文
赤い腹掛に涎掛よだれがけをし、立兵庫たてひやうごに髮を上げた、裲襠姿うちかけすがたのお妙を乘せて、振事をやるといふから、あつしは笑つて笑つて笑つてやりましたよ。
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
お銀様の呪いのまととなっている写真の中の女の像、それは裲襠姿うちかけすがたの気高い奥方でありました。美男の聞えある能登守と並んだこの気高くて美しい奥方。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
裲襠姿うちかけすがた眼もまばゆく、足の運びも水際立みずぎわだち武士の後から歩いて行く。二人の姿が奥へ消えると、鳥市の云った進物なのであろう、十個の大行李が次々に奥の方へ運ばれる。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)