-
トップ
>
-
袖乞
>
-
そでごひ
受出し候に相違御座なく
然るに油屋五兵衞番頭久兵衞と申者
袖乞の身分にて一夜の中に大金の出來る
筈はなしその節見世の帳箱の上に
置たる流れ品を
盡さんと心懸しに却て小栗美作が爲に
讒せられ終に永の暇を給はり其後未だ
斯々して居るなり
然ども忠臣は二君に仕へずとの金言を守り一錢二錢の
袖乞を
仰せらるゝ者かな
往古は昔し今は今なり一旦貴殿に
惠みし金子を如何に某し
斯零落して一錢二錢の
袖乞をなせばとて今更受取り申べき
謂なし貴殿が昔の恩を