衫衣すずし)” の例文
召使にいいつけて、すぐ風呂へ入れ、汗臭い狩衣を衫衣すずしにかえさせるなど、まるで野遊びから帰った子にするような世話だった。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲冑かっちゅうを白い衫衣すずしに脱ぎかえ、蚊やり香の糸にしずかな身を巻かれてみると、あだかも血の酔いから醒めたような、むなしいものだけが心におどんでくるのだった。
白い衫衣すずしに、唐団扇からうちわを持ち、からだをしゃに脇息から、藤夜叉の姿を眺めていた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)