表情かおつき)” の例文
私はこの時どんな表情かおつきをしたか知らない。唯妻木君の顔を穴のあく程見詰めてやっとのことうなずいた。そうして切れ切れに尋ねた。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「ほほほほ」お宮は莫蓮者ばくれんものらしい妖艶ようえん表情かおつきをして意味ありそうに笑った。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
そのうちに両手のよごれを払いながら立上った二人の顔は、もう人間の表情かおつきではなかった。墓の下からこの世を呪いに出て来た屍鬼しにんの形相であった。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)