苧殻をがら)” の例文
こん度来たのは、脚の苧殻をがらのやうに細い、六歳の娘である。お父うさんを見ようと云ふので、抜足をして、そつと病人の足の処まで来て、横目で見た。
板ばさみ (新字旧仮名) / オイゲン・チリコフ(著)
いかなる茸にても水桶の中に入れて苧殻をがらをもちてよくかき廻して後食へばけつしてあたることなしとて、一同この言に従ひ家内ことごとくこれを食ひたり。
遠野物語 (新字旧仮名) / 柳田国男(著)
(勿論重太郎の同類たる一群の豪傑は例外である。)重太郎の憤怒ふんぬを発するや、太い牢格子も苧殻をがらのやうに忽ち二つにへし折れてしまふ。狒や大蛇も一撃のもとにあへない最期を遂げる外はない。
僻見 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)