芹川せりかわ)” の例文
武家物語の重兵衛じゅうべえの役は、芹川せりかわでなくちゃだめだ、と斎藤氏が言うようになったら、うれしいだろうな。いや、甘い空想にふけっている場合ではない。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
小説の芹川せりかわの大将が女一の宮を恋して秋の日の夕方に思いびて家から出て行くところをいた絵はよく自身の心持ちが写されているように思われる薫であった。
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
芹川せりかわらんか!」と大きい声で叫んで、「なんだ、だれも居らんじゃないか。」と口をとがっらせて、「おい、チゴさん。芹川は、どこにいるか知らんか?」
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
芹川せりかわの家には、科学者の血が無いからな。」と言って、笑っていた。さて、ぼくは、文科を選んだからって、兄さんほどの文科的才能が、あるかどうか、そいつは疑問である。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
芹川せりかわさんというお友達が出来ましたけれど、その当時はそれでも、芹川さんに優しく叮嚀ていねいにつき合っているつもりでいたのですが、これも、いま考えてみると、やっぱり私は、ひどく思いあがって
誰も知らぬ (新字新仮名) / 太宰治(著)