旧字:般若心經
というのは、机の上に般若心経はんにゃしんぎょうが開いたまま置かれてあったので、藤田老人は、自殺する前に読経したものと思われました。
自殺か他殺か (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
支配者によって未来のどの道へおもむかせられるのであろうと、こんなことをいろいろと想像しながら般若心経はんにゃしんぎょうの章句を唱えることばかりを源氏はしていた。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
心経の名前 ここに『般若心経はんにゃしんぎょう』の講義をするに当りまして、最初にはしがきとして、『心経』の経題なまえすなわち『般若心経』という名前について、お話ししておきたいと思います。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
別れに臨んでひとえにこの事を願うという意味で般若心経はんにゃしんぎょう三巻を読みました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それは般若心経はんにゃしんぎょうかなにかを書いた残欠本の仮表装でありました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この様子を、般若心経はんにゃしんぎょうは実に要領よく道破しております。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
勝手知った仏壇の中から般若心経はんにゃしんぎょうを取りだして自殺を装わせ、それから、朝まで待っていて、老婆が起きた後に、こっそり家を抜けだしたものだろうと推定したのです
自殺か他殺か (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
ところで、藤田さんが夜盲症だとすると、夜は眼が見えぬのですから、自殺前に般若心経はんにゃしんぎょうを開いて読むはずがありません。そこで僕は藤田さんは他殺されたのだと判断しました。
自殺か他殺か (新字新仮名) / 小酒井不木(著)