膾斬なますぎ)” の例文
「荀彧! なぜそいつを鞍から引きずり下ろしてしまわないのだ。おれたちの前へほうってくれ。膾斬なますぎりに叩ッ斬ってくれるから」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこらのやみに手ぐすね引いていた暗殺の雲霧組の黒衣くろごたちが、一時に魔手をのばして万太郎を膾斬なますぎりにしたであろう事は、あながち空想ではなかったでしょう。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悪文炳あくぶんぺい膾斬なますぎりだ。悪運の強い野郎とおもったが、悪運はやっぱり当てにはなるめえ。思い知ったか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
槍こそなけれ、三尺余寸の大刀を抜けば、腕に筋金が入ると誇る投げ槍の小六、三方づつみに押っ取り囲んで、今にもこんがらとせいたかを膾斬なますぎりにするかの勢い。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が反対に、相手の日本左衛門にいわせれば、もう一足捕手の殺到が遅かったなら、金吾の五体を膾斬なますぎりにしてくれたものを——と、今頃はどこかで、舌打ちをしているのかも分らない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当り前なら膾斬なますぎりに致した上、塩漬の首を亀岡に突ッ返して家中に以後の見せしめとするところだが、今日は格別のお慈悲で打物を持たせてやるから、腕に覚えのある限りこの客人と立ち合って
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)