羽左衛門たちばなや)” の例文
仮りにも羽左衛門たちばなやを知らないなんて、何たる——なんかといくらむかついてみたところで、ここは英吉利イギリスロンドンの、しかもさっきもいうとおりのメイフェアである。
去るものはうとし——別離は涙か、嘲罵あざけりか、お鯉は昔日むかしよりも再勤ののちの方が名が高くなった。羽左衛門たちばなやのお鯉さん、かつらさんのお鯉さんとよばれる一代の寵妓ちょうぎとなった。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)