美事びじ)” の例文
すでに平民へ苗字みょうじ・乗馬を許せしがごときは開闢かいびゃく以来の一美事びじ、士農工商四民の位を一様にするのもといここに定まりたりと言うべきなり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
高座にこびを売らぬ見識をもつのと並べて、呂昇の美事びじは、呂昇が芸の人としての如才なさ、あれほどの盛名があればとかく高慢になりがちなものであろうを
豊竹呂昇 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
男子の不品行は既に一般の習慣となりて、人の怪しむ者なしというといえども、人類天性の本心において、自ら犯すその不品行を人間の美事びじとして誇る者はあるべからず。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
新聞紙の面を見れば政府の忌諱ききに触るることは絶えてせざるのみならず、官に一毫の美事びじあればみだりにこれを称誉してその実に過ぎ、あたかも娼妓しょうぎの客にびるがごとし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)