繊維すじ)” の例文
旧字:纖維
晃平が、先刻、未だ日の暮れないうち、朝飯の菜にとて、山款冬やまふき数十茎を折って来たのを、みんなして、退屈しのぎに、繊維すじを抜いては、鍋へ投げ入れる。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
お通は、顔を仰向けに直して、細い指で、蜜柑のふくろの繊維すじっている。城太郎は、困った顔して
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木下の屋台店で売っていた牛丼は、繊維すじが多く、色もどす赤い馬肉だった。食べながら、別府へ行けば千に一つ小鈴かオイチョカブの北田に会えるかも知れぬとふと思った。
放浪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
麻や亜麻が成熟すると、刈られて種子はき分けられて了ふ。それから、それを湿して、皮の繊維すじを取る仕事が始まる。即ち、其の繊維がわけもなく木から離れるやうにする仕事だ。