紫衣褫奪しいちだつ)” の例文
紫衣褫奪しいちだつ事件に連坐して、流謫るたくの四星霜を出羽かみやまに過した沢庵は、寛永九年七月にゆるされて江戸の土を踏んだ。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紫衣褫奪しいちだつ事件にひそむ幕府の真意は、朝権ちょうけんを否定して、あらゆる政治的威力を、おのが掌中に壟断ろうだんせんとするに在った。沢庵の流罪は、この意味で公武抗争のひとつの犠牲だったわけである。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)