紐育ニユウヨオク)” の例文
紐育ニユウヨオクの支店で以前荷風君を銀行の客分として部下に使つて居た某某ぼう/\二氏は、同君の在米当時を話して、何時いつも銀行へ風の如く来て風の如く去つて仕舞しまふのは同君であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
一方で製造所を作れば同時に一方では千載に殘すべき實利以外の永遠な事業を企てゝゐる。紐育ニユウヨオクの市中でも竣工無期限と云ふ寺院カテドラルの足場がコロンビヤ大學の傍に立つて居る位だ。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
「あめりか物語」中最終の短篇にも書いた通り紐育ニユウヨオク湾頭の離島はなれじまよる小禽ことりが鳴く「六月のの夢」を見たのは、丁度々々ちやうど/\このやうな古びたペンキ塗りの水道も電灯もない田舎家の一室であつたのだ。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)