籠釣瓶かごつるべ)” の例文
佐野治郎左衛門の芝居を見ますと、「籠釣瓶かごつるべはよく切れるなあ」という科白せりふがありますがあの刀もたしか村正だったと思います。
猫と村正 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
無残にも小豆あずき大の赤黒い痘痕あばたが、籠釣瓶かごつるべの佐野次郎左衛門で、会員達の好奇心も一ぺんにさめて、思わず顔をそむけることも少くはありません。
法悦クラブ (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
村正の刀は十年前に或る浪人から百両で買ったもので、持ち主は家重代いえじゅうだいだと言った。水も溜まらぬ切れ味というので、籠釣瓶かごつるべという銘が付いていた。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なづけて籠釣瓶かごつるべの鞘を払ひ、八つ橋、栄之丞をはじめ、数多の人をあやめます。
吉原百人斬り (新字旧仮名) / 正岡容(著)
○五月、千歳座にて「籠釣瓶かごつるべ」を初演。左団次の佐野次郎左衛門、大好評。
明治演劇年表 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)