うえ)” の例文
水の底にすいてみえるうえのなかへ小さな魚がしずかにくぐってゆく。彼はただ一夜だけれどもこの島の岸べにかかる安住の宿を見いだした。
島守 (新字新仮名) / 中勘助(著)
はたして、その御教えの通り八咫烏の後からおいでになりますと、吉野河の下流に到りました。時に河にうえれて魚を取る人があります。
うえを用いるのは、人間のほうから言って最も受動的な方法である。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
右ての小暗い葦のなかにうえがひとつうちよせられてるのでほかにもありはしないかと見まわしてたらさぎが一羽あわただしくたって北浦のほうへ飛んでいった。
島守 (新字新仮名) / 中勘助(著)