空駕からかご)” の例文
澄まして行き過ぎるうしろ姿に、いっそうムッとした二人の雲助、いきなり空駕からかごをほうりだして、バラバラッとうでまくりのただ一打ち!
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三右衛門と村右衛門は、そこに並んでいる空駕からかごを指さした。駕の数も、あつらえたように、ちょうど家族の頭かずだけ揃えてある。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
霜解しもどけの千束村のあぜを、梅の枝を持って通る人や、のろのろと歩む空駕からかごの人影がいかにも春先の点景らしく、うららかに動いて見えます。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あっ、こいつア俺のだ」あっ気にとられた雲助は、それを拾うとお十夜の眼も怖く、一散に空駕からかごをさらって逃げてしまう。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
胸にかけていた人形箱、頭巾、袖無、脱いでひとつにクルクルとまとい、自分の乗るべき空駕からかごの中へ突っ込んだ。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一挺が空駕からかごだったので、全く油断しきっていた孫兵衛、もろくも仰むけざまにひっくり返されたが
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お訪ねとあれば屋敷のお客も同様、遠慮なく御使用下されい。それに空駕からかごで歩行いたすより、お乗り下すッた方がかえッて手前達の足取も調子がいいと申すもの。さあ、いざ
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
駕かきは、空駕からかごの三挺を、残らずかついで
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)