私娼ししょう)” の例文
君江は同じ売笑婦でも従来の芸娼妓げいしょうぎとは全く性質を異にしたもので、西洋の都会に蔓延まんえんしている私娼ししょうと同型のものである。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
久しく一緒に住んで共に私娼ししょうをしていた京子という女が、いよいよ小石川こいしかわ諏訪町すわちょうの家をたたんで富士見町ふじみちょうの芸者家に住込む事になったので、泣きの涙で別れ、独り市ヶ谷本村町ほんむらちょうの貸二階へ引移り
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼女自身も気のつかぬうちいつからという事もなく私娼ししょうの生活にらされてずべき事をもはじとは思わぬようになったものであろう。折々は反省して他の職業に転じようと思う事もあるにちがいない。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)