磯馴そなれ)” の例文
本床ほんどこ附、畳は滑るほど新らしく、ふすま天井は輝くばかり、たれの筆とも知らず、薬草をくわえた神農様の画像の一軸、これを床の間の正面に掛けて、花は磯馴そなれ、あすこいらは遠州が流行りまする処で
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一方の庭に白く咲き殘つてゐた山梔くちなしのかはりに、こゝには腹這つてゐる磯馴そなれの松がある。かすかに鯉の動くのが見えるほど薄濁りのした水のかはりに、こゝには青い蓮の葉で滿たされた池がある。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
風向ふ根疏ねあら浜松磯馴そなれ松今朝さわさわし春日さしつつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)