砒霜ひそう)” の例文
「ですからさ、きのうもちょっと、お耳に入れたじゃありませんか。旦那のおたくは薬種くすり問屋、砒霜ひそうなんかもおありでしょう」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寧波ニンパオのお時を小間使に化けさせ、まず邪魔な惣領のお梅を砒霜ひそうの毒で気長に盛り殺し、怪談の『金鳳釵』を種本にこまごまと書きおろしたこのひと幕。
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
彼女は婆からそっと授けられた劇毒の砒霜ひそうをつねに身にかくしていた。とはいえ、疑い深い病人に滅多にはやれないと思って細心に機をうかがっていたのである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こう。虫も殺さねえつらをしやがって、このすべた阿女あま潘金蓮はんきんれんめ。よくもおれの兄貴をさんざん小馬鹿にしたあげく、砒霜ひそうの毒を盛って殺しゃあがったな」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)