白沙青松はくさせいしょう)” の例文
どこも白沙青松はくさせいしょうだ。そしてなぎさは長い。寄手よせでは好む所へいつでも敵前上陸を敢行かんこうできる。だからあせる要はない。岸をさぐりさぐり、敵を揶揄やゆし、翻弄ほんろうし抜いている。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは物のいい振りや起居と同じように柔和な表情の顔であったが、白い額に、いかつくないほどに濃い一の字を描いている眉毛まゆげは、さながら白沙青松はくさせいしょうともいいたいくらい、ひいでて見えた。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)