略帽りゃくぼう)” の例文
霧雨を含んでしっとり重い略帽りゃくぼうを手にさげ、はりで頭打たぬよう身体をかがめて入って行った。高温のため、眼鏡がふいてもふいても直ぐくもった。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
男の略帽りゃくぼうを拾い上げた。死体の側にしゃがみ、それで顔をおおってやった。立ち上った。息をらしながら、身体をうごかし、執拗に鳴きつづけていたつくつく法師をぱっととらえた。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)