生犠いけにえ)” の例文
「よい生犠いけにえが、来よりました。老人、若いの、御好み次第、生のよい生胆いきぎもがとれる——牧殿」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
残虐な生犠いけにえを神仏に供し、自分の命をさえ、仏に捧げて祈りはしたが、それは、その調伏を成就して、多数の人々が幸福になれば、生犠は仏に化すという決心と信念とからであった。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
お身は、いつも、天下のために、己は、生犠いけにえになってもいいと、申しておられるが、その尊い命を、見す見す縮められても、私事の孝のために、黙視しておられるのが、身の腑には、落ちん。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)