琴平ことひら)” の例文
父が亡くなった翌年の夏、郷里の家を畳んで母と長女を連れ、陸路琴平ことひら高松を経て岡山で一泊したその晩も暑かった。
(新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
讃岐さぬき琴平ことひらに多くう(『郷土研究』二巻三号、三浦魯一氏報)、『古語拾遺』に、白鶏、白猪、白馬もて御歳みとしの神を祭ると見え、『塩尻』四に〈『地鏡』に曰く
つれて旅に出るのは無駄なついえではありませぬかわたしがいたら不自由なおもいはさせませぬからとお伊勢さまだの琴平ことひらさまだのへ三人ぎりで出られるようにもいたしました。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
年来の宿願しゅくがんであった金毘羅こんぴらまいりを思い立って、娘のおげんと下男の儀平をつれて、奥州から四国の琴平ことひらまで遠い旅を続けて、その帰りには江戸見物もして、今や帰国の途中であると話した。
半七捕物帳:33 旅絵師 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)