獰猛ねいもう)” の例文
だが、陸に上って既に日に乾いたものは熊のように黄褐の毛が逆立ち、頬の髭が強く張って、いかにも獰猛ねいもうな巨獣の相を現す。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
狗頭猴くとうざるは異常に獰猛ねいもうだ。カリトリケ(細毛猴)はまるで他の猴と異なり顔にひげあり。エチオピアに産し、その他の気候に適住し得ずというと。
私の足下へ倒れたのは、鞭を持った獰猛ねいもうな支那人で、そのポケットにはピストルが一挺、ちゃんと隠されてありました。
獰猛ねいもうを客観的に虎の属性と見傚みなせば獰猛はついに虎の獰猛であって、どうしても虎を離れる事はできません。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかるにこれをてて客観的価値のもっとも少ない虎を持って来たのは、すべての不類似のうちに獰猛ねいもうの一点を撰択してもっとも大切な類似と認めたからであります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おそろしく獰猛ねいもうな二頭が向き合った。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)