熟〻つくづく)” の例文
そうして、つい身につまされて、先刻さっきからお宮の話を聞きながらも、私は自分とお前とのことに、また熟〻つくづくと思入っていた。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
私は其等をきちんと前に並べて、独り熟〻つくづくと見惚れていた。そうしていると、その中に哲人文士の精神が籠っていて、何とか言っているようにも思われる。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
あの晩彼女あれが言ったことは、自分でも熟〻つくづくとそう思ったからであろうが、私には、あゝ言ったあの調子が悲哀みじめなように思われて、何時までも忘れられない。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)