焼棒杭やけぼっくい)” の例文
旧字:燒棒杭
風が吹きすぎる毎に思わずしかめ顔をしながら外の景色を眺める。バラックのスレートの屋根屋根、その彼方に突立つ葉のない巨大なる焼棒杭やけぼっくいのような樹木。
(新字新仮名) / 宮本百合子(著)
何時いつ何ういう約束をするというでもなく、何方どちらから言出すというでもなく、再び焼棒杭やけぼっくいに火がつくことゝ相成りましたが、さてこれからは何うなりましょうか
梁も桁もかたちがなくまっ黒に焼けきった焼棒杭やけぼっくいと灰の上に屋根伏せなりに瓦がドカリと落ちつんで、すこし谷のように窪んだところにまっ黒に焦げた吉兵衛の死骸が俯伏うつぶせになっている。
顎十郎捕物帳:18 永代経 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「そうか。しかしよく思いきれたな。そのうちまた焼棒杭やけぼっくいじゃないのか。」
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)