灌木帯かんぼくたい)” の例文
旧字:灌木帶
すると、かたわらの灌木帯かんぼくたいのうちから、とつぜん、躍り出した男がある。鉢金はちがねだけの素兜すかぶとに腹巻をしめた軽捷な敵だった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
灌木帯かんぼくたいのあいだ、道のあなたこなたに、むらがり戦う鉄甲のかたまりのうち、眼に余る数は敵であり、血路をたたれている少数が、秀次の部下だった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、あきらかな弦音つるおとが、ややおくれて聞え、すぐ三の矢、四の矢の矢光りが、彼の姿を呑んだ灌木帯かんぼくたいを目がけてシュルシュル鳴ったのを見ても、それはほぼ確かなことといっていい。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むしろより以上な危険のある横手の灌木帯かんぼくたいへとびこんで、そこの断崖から白浪をのぞんで、めくら滅法に飛び下りましたが、これは少し、釘勘の気持としては殺生に過ぎたようです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)