漆戸うるしど)” の例文
朱塗りの漆戸うるしど箔絵はくえを描いた欄間らんまなぞの目につくその石榴口ざくろぐちをくぐり、狭い足がかりの板を踏んで、暗くはあるが、しかし暖かい湯気のこもった浴槽よくそうの中に身を浸した時は
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お雪といふのが毒死したといふうつたへのあつたのは、ある秋の日の夕方、係り同心漆戸うるしど忠内の指圖で、平次と八五郎が飛んで行つたのは、その日も暮れて街へはもうあかりの入る時分でした。
お兄様だって御承知の通り、お兄様や漆戸うるしどと同期生だったんですって。
偽悪病患者 (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
係同心漆戸うるしど忠内は、三輪みのわの萬七に、主人妹お松を縛らせましたが、これは本當に奉行所への申譯だけのことで、一と月經たないうちに、そつと許して歸すより外に手段もない始末だつたのです。