溝涜こうとく)” の例文
地下の溝涜こうとくに日々捨て流す無量の残食を鼠が絶えず食うからどうやらこうやら流行病も起らぬ、それ故適宜にその過殖を制したら鼠は最も有用な動物だ。
隅田川の水流は既に溝涜こうとくの汚水に等しきものとなったが、それにもかかわらず旧時代の芸術あるがために今もなお一部の人には時として幾分の興趣を催させる事である。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)