湯沸ゆわか)” の例文
お婆あさんは、湯沸ゆわかしだの、ソオス鍋だの、ラムプだの、燭台だの、シチユウ鍋だののいろんな鍋と蓋とを棚から取り下ろしました。
 (重兵衛は太吉を横目に睨みながら、自在じざい湯沸ゆわかしを取ってしものかたへ行き、棚から土瓶どびんをおろして茶の支度をする。ふくろうの声。)
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もちろんこれは湯沸ゆわかしの装置がうまく出来ているから、そういう温度の調節が誰にでも容易に出来るのであって、われわれの家の原始的な風呂桶などとは訳がちがうことは確かである。
家庭の人へ (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「あの、湯沸ゆわかしに水一杯くだんせねえ。」
厄年 (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
横田君はいろいろの準備をして来たとみえて、バスケットの中から湯沸ゆわかしを取出して、ここで湯を沸かして茶をこしらえるというわけです。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
(棚には小さきランプを置き、炭焼男の重兵衛、四十五六歳、炉の前で焚火をしている。やがて大きい湯沸ゆわかしにバケツの水を汲み入れて、炉の上の自在じざいにかける。障子の内にて子供の声。)
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)