深川たつみ)” の例文
暮れるに早い秋の日はもう落日が迫って、七橋ななはし八橋やはし七堀ななほり八堀やほりと水の里の深川たつみが近づくにしたがい、大川端おおかわばたはいつのまにかとっぷりと夕やみにとざされました。
有森利七なんてえ野暮仁やぼじんは、もう、とっくのむかし死んだんで、ここにこうしておりますのは、吉原なかから遠く深川たつみへかけて、おんなの子を泣かせる恋慕流しの宗七さま、へへへへへ。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「いいえ、柳ばしのろ半の出店が、深川たつみにありますんでね——へえ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
行った先は深川たつみの谷の家だ、気付けをあげます、駕籠も雇うてあげます、すぐにおいでなさいましと、いろいろ涙のこぼれるような御介抱をして下さいましたんで、こんな血まみれの姿のまますぐ