海潮音かいちょうおん)” の例文
覚えずこうべを垂れた悟浄の耳に、美しい女性的な声——妙音みょうおんというか、梵音ぼんおんというか、海潮音かいちょうおんというか、——が響いてきた。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
けれども、下にいた弁信法師の耳には、この時海潮音かいちょうおんの響がいっぱいで、茂太郎のけたたましい声が入りませんでした。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
小湊こみなとの浜で、梵音ぼんおん海潮音かいちょうおんを聞かせられたことはあるけれども、彼にはその感激はあるけれども、体得はない。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)