法曹界ほうそうかい)” の例文
ラ・フォンテーヌの物語にあるからす(コルボー)ときつね(ルナール)との名前である。いかにも法曹界ほうそうかい冷笑ひやかしの種となるに適していた。
法曹界ほうそうかいの名士に大学関係の学者たちの、宴会や隠れ遊びもあって、ふすま一重を隔てた隣座敷に、どんな偉方えらがたがとぐろいているか知れないのであった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
田川といえば、法曹界ほうそうかいではかなり名の聞こえた割合に、どこといって取りとめた特色もない政客ではあるが、その人の名はむしろ夫人のうわさのために世人の記憶にあざやかであった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「検事局の方へ上申すれば、亀田は、即日放免されましょう。何、まだ未決監ですから、法曹界ほうそうかいの人々に聞えても、問題化される心配はありません。こんな例はありがちなことです。——それからトム公の方ですが」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)