没羽箭ぼつうせん)” の例文
わたしのは「水滸伝」に出てくる没羽箭ぼつうせん張清という豪傑、腰に錦の袋を持っていて、その中から石ころをとって投げる。
その没羽箭ぼつうせん張清の勇姿をたたえたものには、「水調歌」という時の流行曲に、一ト節のうたがある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのとき、没羽箭ぼつうせん張清ちょうせいが頭にうかんだ。百八人のそのうちでも、小石を投げる名人で、常に錦の袋に入れて腰にさげ、エイッと投げれば百発百中。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
敵将、没羽箭ぼつうせん張清ちょうせいは、はや決死のかくごだったとみえる。たのみにしていた両翼の龔旺きょうおう丁得孫ていとくそんのふたりはすでにられていた。——のみならず賊軍の数は倍加している。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そもそも、没羽箭ぼつうせん張清の得意とする“つぶて”ほどやっかいな物はない。近づけば左手の閃刀せんとうが片手使いのあしらいを見せ、離れればたちどころに、一かいの小石を発矢はっしと飛ばしてくる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)