水月すいげつ)” の例文
あがりぎわに一枚引きめくって来たともの板をぶらさげて、泰軒は半眼をうっとりと眠ってでもいるよう……自源流じげんりゅう水月すいげつすがた
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
宇津谷峠の雨宿りに、癪で苦しむ旅人の鳩尾みぞおち水月すいげつへ鍼を打ち、五十両という金を奪って逃げるという筋。
顎十郎捕物帳:06 三人目 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「月と云えば、鏡に縁がありますね。水月すいげつという言葉や、『月が鏡となればよい』という文句が出来て来たのは、月と鏡と、どこか共通点がある証拠ですよ。ごらんなさい、この景色を」
目羅博士の不思議な犯罪 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
伊賀いが水月すいげつさ」と碌さんは、躊躇ちゅうちょなく答えた。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
剣は手にしないが、その体置きの眼のくばりが、そっくり法にかなった自源流じげんりゅう水月すいげつの構相——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)