“殿松”の読み方と例文
読み方割合
とのまつ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「斯うなるのは、矢張り約束ごとでございます。——今までは隨分隱して參りましたが、——私の伜、總領の殿松とのまつは、私の本當の子ではございません」
匕首あひくちは死骸の着物で拭いて、元の用箪笥にしまひ込んだのだらう。どうして刄物をしまひ込む氣になつたか、いまだにわからないが、兄の殿松とのまつに思ひ知らせるためだつたか。
親分でも、あの娘を一と眼見ると、そんな心持になりますよ、——そのお鈴坊を見染めたのが、牛込肴町の兜屋かぶとや三郎兵衞の伜殿松とのまつ、兜屋と言つたつて、鎧兜よろひかぶとを賣るわけぢやありません。