死屍しがい)” の例文
花園には若い男と自分のむすめが醜い死屍しがいを横たえていた。劉万戸は自分の頭へ糞汁をかけられたようないかりをもって、その死屍を睨みつけていたが、ふと二人の関係が知りたくなった。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
死屍しがいわきに落ちてありましたのは、春部梅三郎がお小姓若江と密通をいたし、若江から梅三郎へ贈りました文と、小柄こづかが落ちてありましたが、春部梅三郎は人を殺すような性質の者ではない
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
若し死ぬにしたら人の眼前めさき死屍しがいをつきつけてからでなくては死なぬ、どうしても逃げ出したに相違ない、逃げたとすれば某港の方向だ、女の足ではまだ遠くは行かぬ、それ誰々に追懸けて貰へ
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)