ひずみ)” の例文
これらの大地震によって表明される地殻ちかくひずみは、地震のない時でも、常にどこかに、なんらかの程度に存在しているのであるから
怪異考 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
生活に打ち込まれた一本のくさびがどんなところにまでひずみを及ぼして行っているか、彼はそれに行き当るたびに、内面的に汚れている自分をってゆくのだった。
ある心の風景 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
出来の悪いガラスのひずみや気泡の悪戯なのであった。
海豹島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
もっともこの断層の生成、これに伴なう沈下や滑動かつどうの起こった時代は、おそらく非常に古い地質時代に属するもので、その時のひずみが現在まで残っていようとは信ぜられない。
怪異考 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
また未発表ではあるが池田芳郎いけだよしろう君の注意されたガラス管の内部的ひずみによる破壊の現象などもこの部類に属するもので、そこにもおもしろいわれ目の週期性が現われるのである。
自然界の縞模様 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)