棭斎えきさい)” の例文
蘭軒が泉豊洲の門下にあつた時、同窓の友には狩谷棭斎えきさい、木村文河ぶんか、植村士明、下条寿仙げでうじゆせん、春泰の兄弟、横山辰弥等があつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
晩年一部の好書家が棭斎えきさい展覧会を催したらドウだろうと鴎外に提議したところが、鴎外は大賛成で、博物館の一部を貸してもイイという咄があった。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
我国における考証学の系統は、海保漁村に従えば、吉田篁墩よしだこうとんが首唱し、狩谷棭斎えきさいがこれに継いで起り、以て抽斎と枳園とに及んだものである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
次は狩谷棭斎えきさいの店津軽屋と筑前船との事、塙保己はなはほき一から取り寄せる書籍の残の事、蠣崎波響かきざきはきやうへ文通の事である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
先ず『老子ろうし』の註をはじめとして、迷庵棭斎えきさいに誓った為事しごとを果して、それから自分の為事に掛かるのだ
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それは抽斎の生れた時、四十一歳であった迷庵、三十一歳であった棭斎えきさい、二十九歳であった蘭軒の三人と、京水とであって、独り京水は過去帖を獲るまでそのよわいを算することが出来なかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)