棚倉たなくら)” の例文
恭順か、会津援兵か、その去就を内偵すべく官軍の密偵達が、たいら棚倉たなくら、福島、仙台、米沢から遠く秋田南部のお城下までも入りこんでいるのは隠れない事実なのである。
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
十一月冬至の日、松平弾正少弼康爵だんじょうしょうひつやすかどがその宴席に枕山を招いた。康爵は奥州棚倉たなくらの城主松平周防守康英すおうのかみやすひでの隠居で号を誠園という。明治元年五月に五十九歳で没したから、文久二年には五十三である。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)