杓子面しゃくしづら)” の例文
「おどろくのかい、兵学の大先生がよ。えらそうにがくを振りまわしていた加賀田の隠者がさ。ざまアみやがれ、杓子面しゃくしづらめ」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新婦は杓子面しゃくしづらのおツンさんで、欠点をさがしだそうとする満座の眼が、自分に集中しているのを意識しながら、おつにすまして、はにかもうともしない。
春雪 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その異相、俗に杓子面しゃくしづらというしゃくれ顔の低い鼻から唇のへんに、何ものとの妥協も知らぬ隠棲者いんせいしゃ独得な孤高のほこりと皮肉にみちた小皺こじわをたたえて、うそぶきすましているのである。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)