本意無ほいな)” の例文
されどもこの後相見んことは何日いつをも計られざるに、願うては神の力も及ぶまじき今日の奇遇をあだに、余所よそながら見て別れんは本意無ほいなからずや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さてはすこし本意無ほいなきまでに、座敷の内には見出みいだすべき異状も有らで、彼は宿帳にりて、洋服仕立商なるを知りたると、あへそむくところ有りとも覚えざるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
識れる者は恐くは、貫一も鰐淵も一つに足腰のかずなるまで撃踣うちのめされざりしを本意無ほいなく思へるなるべし。又或者は彼の即死せざりしをも物足らず覚ゆるなるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)