本屋おもや)” の例文
本屋おもや続きの濡縁に添って、小さな杜若かきつばたの咲いた姿が、白く光る雲の下に、あかるく、しっとりと露を切る。……木戸の釘は錆びついて、抜くと、蝶番ちょうつがいが、がったり外れる。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
主人の總七——まだ三十そこ/\の若い男が、納屋の裏、本屋おもやの裏二階の下で、幾十貫とも知れぬ、屑金物入の箱の下敷になつて首を胴にメリ込ませて死んで居たのです。
主人の総七——まだ三十そこそこの若い男が、納屋の裏、本屋おもやの裏二階の下で、幾十貫とも知れぬ、屑金物入の箱の下敷になって首を胴にメリ込ませて死んでいたのです。
陽子さん——これはおやしきに同居して入らっしゃる、御親類のお嬢さんですが——に送られて、本屋おもやの寝室へ入った事はわかって居りますが、そのあくる朝、浩一郎さん——これもお邸に同居して
古銭の謎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
三人は本屋おもやの裏手にある左京路之助の執事部屋へ入って行きました。執事の部屋といっても、さすが聞えた大富豪の邸宅ですから、その豪勢振りは、並大抵の金持の主人では追っ付かない位です。
古銭の謎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
凹字おうじ形になって、鉄筋コンクリートの城塞風の設計で、正面——即ち、凹字形の底部——は、本屋おもやで、表側全部と裏の二階は、行方ゆくえ不明になった主人春山昇が使用し、凹字形の右翼は、陽子と父
古銭の謎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)