朝夕あさばん)” の例文
彼は朝夕あさばん散策さんぽもすれば、写生にも出てそのあたりの地理にくわしかったので、牧場のあるのがにおちなかった。
馬の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それは普通の民家でこしらえるきものではなかった。昨日まで朝夕あさばん生活くらしに困っていたものがそうした衣を着たので、たちまち周囲の疑惑を招いた。青年はたちまちとらえられた。
賈后と小吏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
祝には一人の男の子があったが、こどもの母親は柏舟節みさおを守ることができないで、半年の後に児を置き去りにして他へ嫁入した。嫁に往かれた祝の母は孫の世話をしていたが苦しいので朝夕あさばんに泣いていた。
水莽草 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)