月鼈げつべつ)” の例文
これを宗鑑、守武らの自ら吟じ自ら聴き独り作り独り喜ぶに比すれば、形勢の変遷、時運の泰否たいひただ月鼈げつべつ霄壌しょうじょうのみならず。
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
なお金銭におけるごとく、プラスマイナス出入でいりの相違は天地懸隔けんかく月鼈げつべつ雲泥うんでい、駿河台の老婦人もまたこの般の人なりき。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
春の眺めは一目千両とはちひせえ/\! などゝ声を合せたがつたが、いつかの晩に耳にした太十等の歌声の素晴しさに比べると、月鼈げつべつの相違であることが益々明らかに想はれるだけだつた。
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)