時花はやり)” の例文
もしお嬢さま、このごろ時花はやりの都々逸には、〽苦労気がねを積み重ねたる二等煉瓦の楽住居——ということがございます。
円朝花火 (新字新仮名) / 正岡容(著)
おごりも増長して、下着に郡内縞ぐんないじま、または時花はやり小紋、上には縮緬ちりめんの羽織をかさね、はかま、帯、腰の物までそれに順じ
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
国学者の自分が今時花はやりの敵討物に乗り出して大当りを取りこの三馬をはじめ、いい気になっている巷間の戯作者どもをあっと言わせて狼狽させ、一泡吹せてやることを思うと、六樹園はその痛快さに
仇討たれ戯作 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そもそも浮世節とは市井巷間しせいこうかん時花はやり唄の中に長唄清元、常磐津、新内、時に説教節、源氏節までをアンコに採り入れ、しかもそれらがことごとく本筋に聴かし得て
随筆 寄席囃子 (新字新仮名) / 正岡容(著)