春照しゅんしょう)” の例文
春照しゅんしょう高番たかばんという陣屋に、夜もすがら外にはかがりを焚かせ、内は白昼のように蝋燭ろうそくを立てさせて、形勢穏かならぬ評議の席がありました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「さては、伊吹の裾道すそみちよ。——玉村から川寄りへ曲がれば、藤川、上平寺下じょうへいじした春照しゅんしょう村を通って、この街道を行くよりは、およそ二十町の近道になる」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
来た時の道を帰れば、石田、大原から北国脇往還わきおうかんを横切って春照しゅんしょうに出るのだが、帰る道としては七尾へ廻るだけのものです。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
春照しゅんしょうから長浜へ行く、なだらかな道筋、その駕籠わきに小風呂敷を引背負って附添って行くのは、近頃この王国の御飯炊きになった佐造というお爺さん。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
弥高いやたかから春照しゅんしょうの方の人里へ向けて飛び狂って行くようでしたが、そのうちに姿が見えなくなったのは、遠く雲際に飛び去ったわけではなく、近く胆吹の山中へ舞い戻ったわけでもなく
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)