折尾おりお)” の例文
一時間半を費して漸く黒木の多い尾根の頂上に出た。前面が目隠しを取ったように開けて、眼下に今宵の泊場所と決められた折尾おりお谷が望まれた。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
それを振り出しにして、佐世保、久留米、下関、門司、戸畑、折尾おりおと言った順に、四年の間に、七度も学校をかわって、私には親しい友達が一人も出来なかった。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
九州本線と、筑豊線とは、折尾おりお駅で交錯する。若松から、博多、熊本方面に行く者は、ここで、乗り換えるのである。そういう人たちが、折尾で停車した列車に、どやどやと、乗りこんで来た。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
アゾ原は仙人谷と折尾おりお谷との中間に位する黒部川の左岸をいうので、長い歩廊のように連続した岩の間から、さかんに温泉が湧き蒸気が噴出している、其様は立山の地獄谷とよく似ていると思った。
黒部峡谷 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
吉沢君や中村君にると、椈倉峠から小黒部に下る谷は、中ノ谷と呼ばれているとのことである。お中村君は、折尾おりお谷は小黒部谷の支流ではなく、黒部川に直注する沢の名であることを話された。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)