手擲弾てなげだん)” の例文
旧字:手擲彈
時に、かの女のいるテーブルの反対側の広間から、にわかときの声が挙って、手擲弾てなげだんでも投げつけたような音がし出した。かの女はぴくりとしておびえた。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
と、叫びながら狂気のように黄は彼女の後を追いかけたが、手擲弾てなげだんのようなマリの靴を向脛むこうずねに見まわれてびっこをひきながら彼は街路に飛出した。野蛮………………マリを跳ねかえした。
スポールティフな娼婦 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
結局かの女の途方も無い愛情で手擲弾てなげだんのように世の中に飛び出して行ったむす子……
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)