憤怒いきどおり)” の例文
崔はおどろいて、さては他に姦夫かんぷがあるのかと、憤怒いきどおりに堪えぬままに起き出でて室外をさまよっている時、おぼろの月のひかりに照らされて、彼女は屋上から飛び降りて来た。
私はあの七年住慣れた小楼に、土の気息いきにまじって通って来るかすかな風の歎息ためいきのようにして、悲しい憤怒いきどおりの言葉を残して来た。そうだ。光と熱と夢の無いねむりの願い、と言った人もある。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
勇気のある者は憤怒いきどおりをもって、その重い石を刎ね退けるがいい。勇気のある者は笑ってはいけない! 肉体的にいう時は、笑ったとたんに筋が弛む。精神的にいう時は、笑ったとたんに心が弛む。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)